AWDLP210-024


 

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第27回 「私の中の「小宇宙」―「宇宙」への人文学的アプローチ」

日時:平成26年6月28日・土 13時開始
演者:山本正身氏(慶應大学文学部教授、前慶應女子高校校長)
場所:慶應義塾大学 南館ホール

第1部 授業内容:
第27回目の宇宙授業は、山本正身校長(当時)に授業をお願いしました。
この年の九月で校長職をお辞めになるとは予想もつかなかったので、6月のこの時期にお願いできて本当に良かったと思います。
授業の内容は、ご専門の朱子学の分野からの宇宙についての考察であり、今までにない文系的な新しい授業内容となりました。大学の講義とはこういうものだと、女子高生たちは100分の授業を体験しました。なお、今回、はじめて南館ホールを使用しました。(約1時間30分)

生徒の感想より:
朱子学の観点から宇宙を語るというのは私の想像を超えていて、講義は驚きと共に始まりました。人間の問題を宇宙と関連づけて考えるというアプローチは、新鮮でとても集中して聞くことができました。
本日、私は朱子学が宇宙のあり方に原理を見出し、その原理に従って生きることに人間の価値を認めようとする哲学的思想を持っていると知り、興味深く感じました。
宇宙のあらゆる存在は気でできていて、それが絶えず運動することで陽の気や陰の気となり、それが混じり合うことで五行(木、金、土、火、水)を構成する(陰陽五行説)。
講義を受けていなければこの説明はわたしにとって全く理解のできないものであったでしょう。
しかし、今のわたしは難なく意味がわかります。全ての存在=気の最小単位が陰陽五行で、そのような気の運動は一定の法則に基づいて行われることを「理」という。全てはこの理によって営まれている。したがって天地宇宙の全ては「理」に規定されているとえる。
たとえば、宇宙の中にある一定の調和や秩序は理の作用に基づく。理が宇宙を規定するのならば、人間のあり方も規定しているといえる。
つまり人間にふさわしい生き方=道徳的に生きるためには、理に従うことが絶対であり、理は人間に内在している。つまり、人間の本性は理に規定される。我々は本性に従うことで本来の生き方ができるが、人間は様々な情欲に溺れるため、理(性)の働きが妨げられてしまう。
自我意識、つまりは心をコントロールし自分の心の内を見つめ修めることで、情欲を捨て、理に従って生きることができる。そのために私たちは学問を学び、心をコントロールすることを知り、自分自身=ミクロコスモスに内在する理の原理=マクロコスモスを把握しなければならない。
このように、朱子学は心と理を使い、私たちがどう生きるべきかを指導します。いくつかの疑問も生じましたが、今回の講義は新しい知識を増やし、また深く物事について考えさせてくれたのでとてもいい経験になりました。山本先生、ありがとうございました。

第2部 質疑応答(約20分)

※ 聴講者は生徒・関係者を含め約180名でした。




質問に答える山本正身先生


授業後の山本正身先生




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