慶應義塾女子高等学校に在学していた三年間は、とても楽しい時間でした。生徒たちはひとりひとりが型にはまることなく、のびやかで、しなやかで、たくましかった。そして、きらりと光る自分らしさを秘めていた。その一番の理由は、校風がすごく良かったからだと思います。受験校ではないこともあると思いますが、先生たちは、受験のための知識よりも自由な発想で学問を楽しむ情熱や面白さを教えてくれた。生徒に対して、こうあるべきという“大人にとっての理想の生徒像”を押し付けることなく、ひとりひとりの個性を重んじて、自由に過ごさせてくれた。かといって放任するのではなく、自分の進む道は、自己責任の中で、自分で決めて生きていきなさいと後押ししてくれた。まさに、福澤諭吉先生の教育理念である「独立自尊」が体現された教えだったように思います。
十代の多感な時期に、そんな時間が持てたことはとてもラッキーでした。おかげで社会に出てから、辛いことがあっても自分を信じていられたし、やりたいと思う気持を貫いて、自由にいろいろなことにチャレンジできたと思います。
私が体験した教えは今も変わることなく続いていて、後輩たちもまた自由で明るく、楽しく、自信をもって自己の存在や意思表示をする人たちになっている。それが、とても嬉しいです。「のびやかで・しなやか・たくましく」生徒が育つとても良い校風の我が母校を誇らしく思います。
思い返すと、慶應女子高に合格したあの日、私の人生は大きく動き出しました。生徒会で会計監査局長を務めたこと、友人と教員室に押し掛けて将来について語り合ったこと、そんな女子高での経験の全てが今の自分に繋がっていると実感します。
女子高には生徒一人一人が活躍できる機会が存分にあります。多彩で快濶な仲間と共に切磋琢磨した経験は、私に広い視野とチャレンジ精神を与えてくれました。最高の環境でのびのび好きなことに没頭し、バイタリティ溢れる友人と駆け抜けた三年間は、今も褪せることのない私の大切な宝物です。
高校受験では、国立大学の附属校を含め複数校合格していましたが、自由でのびのびとした校風に憧れ、慶應女子高に入学しました。受験がない分、課外活動や行事に思い切り取り組めること、第二外国語など幅広い選択科目を履修できることも女子高ならではの魅力です。
医師として歩み始めたばかりですが、今日の医療技術の進歩は著しく、職域を超えたチーム医療が不可欠です。まさに、女子高時代に培われたそれぞれの個性を尊重し、皆で協力して一つのものを成し遂げるという経験がそのまま活かされていると思います。
国際的な仕事がしたい。その夢を叶えられる場所だと思い、私は女子高への進学を決めました。入学後は、国際ロータリークラブの奨学生としてフランスに留学しました。そしてそこで国際弁護士になるという新たな夢を見つけました。 弁護士には文章力が不可欠です。女子高では80枚創作など文章を書く課題が多々あり、先生方の丁寧なご指導や才能豊かな友人達から受けた刺激のおかげで、文章力に自信をつけることができました。私にとって女子高は、好きな勉強に打ち込み、夢を見つけ、それを叶える力を身につけることができたかけがえのない場所になりました。
私はいまシンガポールにいて、国籍も文化も違う人たちと仕事をしているのですが、異国の地でも物怖じせずにいられるのは、女子高での経験が大きかったと思っています。演劇会や運動会などの行事や部活動で責任ある役を任されて、個々に自己主張を始める集団をどうしたらまとめられるか、考えて実践しているうちに、目標に向って前に進むためのプロセスを学ぶことができました。それが、今の仕事につながっていると思います。むしろ、女子高時代のほうが厳しかった気がするほどです。逃げずにやり遂げたからこそ得られた達成感、突き抜けて頑張る楽しさを教えてくれました。女子高での経験はかけがえのない財産になっています。
女子高での高校生活はとても楽しかったです。様々な個性が存在する、小さな社会。その中で過ごすうち、人と人とのちょうどいい距離感を自然と身に付けられたように思います。先生たちの力も大きいと思うのですが、一人一人が自立した大人の振る舞いになるんです。他人の行動が自分と違っても、それも個性と認めて尊重し合う。たとえば、私は運動音痴で運動会はとても苦手。それをクラスメイトはただ受け入れて、周りでどうカバーすればいい結果を出せるかを真剣に考えてくれた。だから、私もできることを探して、自分なりに頑張ろうと思って楽しめました。今振り返ると、そんな女子高での三年間が、自分の人間性を決めてくれた気がします。
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- 多くの行事があり、誰もにチャンスが回ってきた。それぞれの意見を自由に出し合う中で、広い視点で物事を考えるくせが自然と身に付きました。女子高は、これからのリーダーになれる人材を育てていると思います。
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- 女子高での全ての経験は、卒業後十年以上経ってから本当に役に立っていると実感しています。大らかな先生や友人から、こうでなければダメと決めつけることなく、そのままでいいと多様性を受け入れることを学びました。
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- 女子高特有のパワーや適応力を肌で感じていたので、未経験なことへの不安がなくなりました。おかげで卒業後にも、たとえできなくても自己否定などせずに、やりたいと思ったことに果敢にチャレンジできました。
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- 周りを見ると、みんなとてもイキイキとしていました。将来に対する不安はあっても、あれこれ思い悩まずに、まずやってみよう、いろんな生き方があっていいんだ、何かあっても私は大丈夫という自信をもらえたと思います。
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- 女子高の三年間で、人前に出ても誰に対しても物怖じせずにいられる度胸がついた気がします。主張もするけど、協調もできるキャラクターを授けて貰えました。それを見守ってくれる先生の存在もとても大きかったです。
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- 自分でやりたいと思ったことには、臆せずチャレンジしようと思える自信と勇気をもらえました。会社を辞めて7年ぐらい子育てに専念すると決めた時も、私はまた復帰できると、自分を信じていられました。
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- 人それぞれやりたいことは違っていいと、お互いを尊重する。多感な時期に、その空気を経験できて良かったです。自分の目指す道に向かって精一杯頑張ればいいと、先生方や友人に背中を押してもらえました。
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- それぞれの個性を認め合いつつ、学校行事などで一致団結する時のパワーがすごかったです。その空気に後押しされて慣れない役割でも必死で務めるうちに、自信がついてきました。その経験は社会に出ても活きていると実感しています。
※「女子高」という記述はすべて慶應義塾女子高等学校を指します。
※キャリアパスは取材時時点のものです。